試験から実務への橋渡し。本当の経営分析が分かる本「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ」
こんにちは、会計士KOです。
最近、家に数百冊ある会計、監査、アドバイザリー関係の本たちを整理していて、ぜひ会計士、特に若手に読んでほしいという本を発掘したので、書評をしたりしています。
ちなみに第1弾は、内部統制に関する以下の本の紹介です、気になる方はぜひ読んでみてください。
【書評】内部統制とは何かを理解するのに最適な本「忘れちゃならない経理の作法」
今回のテーマは、経営指標分析、財務諸表分析についてです。
会計士は監査におけるリスク評価などを行ううえで、経営指標分析や財務諸表分析などを行いますよね。
この際、定型的な経営分析などに止まり、実質的な経営分析、財務諸表分析ができていないという不安がある会計士にはかなり目から鱗だと思います。
近視眼的に指標を算出することに一生懸命になってしまうこと、結構ありますからね。
今回、紹介する「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ」は、試験勉強から実務への橋渡しとして、私の考え方の基礎となっています。
本にも記載のある通り、この本では、「資産回転率とは何か、インタレストカバレッジはどう計算するのか、固変分析をどうやるのか」といった話は出てきません。
経営指標についてではなく、経営指標の「使い方」について、そして分析の仕方と言う点について着目して書いてある本です。
ざっくりしたオススメポイントと想定読者
本記事の要約と、オススメポイントは以下です。
★実務に落とし込んだ経営指標の使い方を学べる★
★試験勉強ベースの経営分析・財務諸表分析からの脱却ができる★
★具体的なビジネスモデルと紐づけて事例を学べる★
想定読者は、
若手会計士や、会計士受験生のみならず、経理の方や、経営企画などの方にオススメと言えます。
では、以下、オススメする理由や、読み物です。興味を持ってくれたら嬉しいです。
経営指標とは
経営指標はものすごく単純?
経営指標については、なんとなく知っている方が多いのではないでしょうか。
例えば、流動比率とか、自己資本比率とか、ROEとか、聞いたことありませんか?
聞いたことがない人は、別の記事にでも書くので待ってください。そしてこの本を読むのはちょっとだけまだ早いかもしれません。
簿記や経営学とか触りだけでもやってみて、面白いと思ったらぜひ買ってみてください。
我々は、企業の収益性や、安全性、効率性などを確認するために、一定の指標を用います。これが経営指標ですね。
流動比率は、
流動資産÷流動負債
として計算され、安全性の指標ですね。
自己資本比率は、
自己資本÷総資産
として計算され、こちらも安全性の指標です。
なんだか、これくらい、ちょっと用語が分かれば、簿記が分かれば、すぐ勉強できそうじゃないですか?
そうです。経営指標って殆どのものはすごく単純なんです。
経営指標の使い方が難しい
こんなに単純なら本なんて読まなくてもいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、我々が経営指標を算出したのは、その数値を見るためではないですよね。
収益は出ているのか?企業として安全なのか?効率的な経営はできているか?
そのような分析がしたいのです。
冒頭にも記載をした通り、この本は経営指標の知識は所与のものとした上で、解説しているのは、指標の使い方などです。
試験ではここを教えてくれません。
そもそも、試験だと、架空の企業が出てきますからね。
その際に、実務と絡めて色々な知識、知見、そして考え方を与えてくれるのがこの本です。
IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ
この本は結構有名かもしれません。私も実際、先輩から進められて読み始めた本です。
記載をしている通り、用語の解説なんかは殆どありません。
全てのページで、指標の分析の仕方やビジネスモデルの確認の仕方に着目をして論が構成されています。
例えば、冒頭の以下の質問、答えられますか?
第4問
適用すべき経営分析手法の観点から、次の4つのビジネスを2つのグループに分けるとするとどんな組み合わせになるか?それはどんな観点から分けられるのか?
(1)携帯電話(通信サービス)
(2)携帯ショップ
(3)生命保険
(4)保険ブローカー
(本書より引用)
我々に足りないのはこのように、知った指標を実務の分析に落とし込む能力です。
そして実務経験者の視点を得られる実例がたくさん記載されています。読むだけでも、普段の会社のBS,PL,CFを見る目が変わってくると思います。
ぜひぜひ読んでみてください。
新書だと図解がちょっと少ないながらも1,000円くらい安いっぽいです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません