【書評】内部統制とは何かを理解するのに最適な本「忘れちゃならない経理の作法」
こんにちは、会計士KOです。
最近、家に数百冊ある会計、監査、アドバイザリー関係の本たちを整理していて、ぜひ会計士、特に若手に読んで欲しいという本を発掘したので、書評をしてみます。
また、最近、監査法人に入って、ある程度仕事を覚えてきた新人たちから「オススメの本ありますか?」という質問も良く聞くので、書評というよりは本のおすすめ・紹介といったほうが正しいかもしれません。
今回、紹介する「忘れちゃならない経理の作法」は、若手会計士や、会計士受験生のみならず、経理の方や内部監査担当者など、決算財務報告プロセスに携わる人のバイブルと言えるかもしれません。
ざっくりしたオススメポイントと想定読者
本記事の要約と、オススメポイントは以下です。
★内部統制のフローチャートが多い★
★イメージの湧きにくい内部統制のプロセスを可視化してくれる★
★イメージの湧きにくい内部統制の正解・留意点を明記してくれる★
★内部統制監査において、まず教科書論的に確認すべき内容がはっきり分かる★
想定読者は、
若手会計士や、会計士受験生のみならず、経理の方や内部監査担当者など、決算財務報告プロセスに携わる人
です。
では、以下、お勧めする理由や、読み物です。興味を持ってくれたらうれしいです。
そもそも内部統制とは
そもそも、内部統制とはなんでしょうか。
財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準においては、以下のように記されています。
内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動 に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な 保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロ セスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング (監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。
正直、何言っているか良くわからなくないですか?
上記の文章だけだと、かなりイメージが湧きにくいですが、承認を取ったり、再計算をしたり、ダブルチェックをしたり、不正やミスを防ぐ目的の、実際やってみる側になると面倒くさいやつってイメージでいいです。
また、監査法人からの意見が必要となるいわゆる「J-SOX」という範疇では、上記の内部統制の定義のうち、決算財務報告の信頼性に関わるもののみを対象として評価を行うこととされています。
なんだか、まだまだイメージ付きにくいですね。内部統制って本当にイメージ付きにくいんです。
内部統制を評価するとは
内部統制の評価の分類(整備状況評価と運用状況評価)
とりあえず、イメージが付きにくいながらも話を前にすすめましょう。次は、内部統制の評価です。
内部統制の評価は、主に整備状況評価と運用状況の評価に分かれます。
整備状況は、さらに内部統制のデザインと適用の評価に分類されます。(DIとか言いますね。)
内部統制のデザインの評価はその名の通り、内部統制がそもそもイケているかという評価です。
イケている内部統制が実際に業務で利用されているか、が整備状況の評価で、そして実際に期間に渡って実施されているか、というのが運用状況の評価(OEとかTOEとか言いますね。)です。実際の業務においては、サンプルを抽出し、確認していくことが通常ですね。
イケている内部統制さえあれば、それを評価していくのはある程度決まりきっていて簡単です。
じゃあ、イケている内部統制ってなに?
ここが難点です。特に整備状況に関する評価においては、評価する側が自分の中で何が正解かという観点を持っていなければなりません。
特に監査法人が確認する外部監査ともなると、今まで未改善だったポイントに目をつけ、そして改善を促すことが監査人のバリューであり、そして腕の見せどころじゃないでしょうか。
しかし、例えば、会計士試験に合格したてともなると、実際に会計数値がどのようなフローを経て生成されるかということのイメージが湧きません。
実際に、私も新人の頃は正解が全くわからず、かなり困りました。
イケている内部統制を知るには?
例えば、社会人経験、特に経理経験でもないと、
・売上を計上するまでに留意する事項は?
・売掛金の回収プロセスでチェックすべき事項は?
・固定資産の管理で大事なポイントは?
・決算処理で確認しなければならないことは?
という点に、答えられないのです。
だって、実際のフローを知らない・正解のフローを知らないから。
もちろん、その会社の個別具体的なフローを理解しなければ問題点や正解を発見することはできませんが、とはいえ、教科書論的にまずは正解の像を持っていることが必要です。
その際に、一度、目を通しておくべき本が今回の本です。
忘れちゃならない経理の作法
この本は、なぜか私が属する監査法人(特定の部署だけなのかもしれませんが)においては、内部統制監査にいく前に絶対読んでおけというバイブルとなっていました。
私も半信半疑で買ったのですが、やはり内容としては、かな〜りわかりやすく感動したのを覚えています。
特に、個別具体的な勘定科目に紐づくフローや留意点を解説しているのですが、たくさんのフローチャートを載せていたり、より実務をイメージしやすいように寄せて解説してくれています。
私は経理経験はおろか、新卒ペーペーで監査法人に入りましたので、この本の存在は非常に助かりました。
内部統制基準を読むだけでは、正直、結局何を見ればいいの?ということがイメージがつかない人にかなりおすすめと言えます。
この本を読んで、まず教科書論チックな内部統制のあるべき形を探り、そして個別具体的な内部統制を考えることで、イケている内部統制を知ることができる監査人になれるかと思います。
ぜひぜひ、お勧めです。
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