公認会計士に学歴は必要?就職や転職、独立へ関係するか、影響するか?

こんにちは。会計士KOです。

今回は良く話題になっている

「公認会計士に学歴は必要か?」

という議題について個人的な見解をまとめていきたいと思います。

過去、私も質問箱で質問を受けたり、TwitterのDMでも同様の質問を受けたりしていました。

また、更に内容を聞いていくと、

「公認会計士は高学歴であったほうが有利か?」

「公認会計士の就職や転職に学歴は必要か?」

という質問に細分化されるようです。

また、他の方のTwitterなどの投稿を拝見しても、同様の質問を多くの方が受けているようですね。

そのような学歴を気にされて勉強をされている方や、同様の疑問を持っている方に、少しでも参考になればと思って個人的な見解をまとめていきたいと思います。

ディスクレーマー

本記事はあくまでも私見です。

学歴を含めたキャリアには絶対的な正解などはありません。

あくまでも一会計士の個人的な見解として受け取ってください。

もちろん否定的な見解もあるかと思いますので、その際はDMでもなんでもおっしゃってくださいませ。

今回の記事の検討の内容

今回の記事の検討内容はよく質問が来る内容を受けて、具体的に以下の内容を論じたいと思います。

今回の記事の検討内容

公認会計士は、高卒/専門学校卒or大卒はいずれでも問題ないか?

公認会計士は、大学は高い偏差値の出身のほうが良いか?

その他

公認会計士試験の学歴別合格者

さて、まずは何事も分析からです。

公認会計士試験に関する客観的なデータを見てみましょう。

公認会計士試験合格者の学歴別合格者数

というデータを金融庁が公表しています。

今回は、令和元年のデータを見てみましょう。

それが以下です。

出典:(令和1年公認会計士試験)学歴別合格者調

https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/ronbungoukaku_r01/03.pdf

大学卒業者数+大学在学者数、割合

合格者数1,337名に対して、大学卒業者数は552名、大学在学合格者数は530名となっています。

割合に換算すると、大学卒業+大学在学=80%を超えているようですね。

(なお、原則大学卒業を前提とした大学院在学、大学院修了などを含めると90%近くになるようです。)

高校卒業者、その他

一方で、高校卒業者の合格者数を見ると85名、その他は24名となっています。

割合に換算すると8%程度に留まっているようですね。

客観的なデータだけ見ると、

公認会計士試験合格者は、大学卒業者が太宗を占めている

ことが良く分かりますね。

実際に私の同期を思い浮かべてみても、大学卒7~8割程度、高卒/専門学校卒2~3割程度かなと思っており、感覚と合致しています。

学歴の分類と大前提

そもそも、今回ディスカッションの対象とする学歴について定義を明確にしておきたいと思います。

学歴の分類と高学歴の定義

まず、この記事における議論すべき学歴の分類としては、以下とします。

学齢の分類

大学卒

高卒/専門学校卒

この点、博士課程や修士課程などに議論を波及させるのは、上記の学歴別合格者データを見るとあまり意味のない議論になりかねませんので、まず切口としては以上の2つとします。

また、加えて、

高学歴の定義

高学歴=偏差値が高い学校を卒業している

意味を示すとします。こちらも博士課程や修士課程などを議論の対象外とするのは同様ですね。

なお、会計専門職大学院については大学を卒業せずとも入ることができたりしますが、会計専門職大学院の制度自体が少し個別性が強いので今回は考慮外とします。

学歴に関する大前提

学歴に関する大前提として、

学歴が高くて損をすることはほぼない

ということはまず申し上げておきます。

社会に出て、良い学歴の方が、「うわあ、良い学校出身で損したな~~~」と言っているのは見たことありません。

これは公認会計士の業界においても同様で、例えば「東大を出たけど、マジで失敗したな~~~」なんて方は見たことはありません。

公認会計士として仕事をしていくにあたり、高卒/専門学校卒or大卒はいずれでも問題ないか?

では、まず公認会計士として仕事をしていくにあたり、高卒/専門学校卒と大卒いずれでも問題ないかというテーマを論じていくこととします。

監査法人にいる分には高卒/専門学校卒or大卒は影響するか?就職や昇格はどうなる?

監査法人への就職に高卒/専門学校卒or大卒の別は影響するか?

まず、監査法人への就職に高卒/専門学校卒or大卒の別は影響するか?ですが、

私の観測する限り、高卒/専門学校卒と大卒で就職時に差別されたということはほぼない

かと思います。

ここ数年の就職事情などを見てもこれは事実かと思います。

一方で、

就職難の時代は良い大学を出ている方しか採用されなかったという事実もある

旨を各方面から聞いています。

このため、現状の所謂売り手市場が続く前提であれば、学歴、特に高卒/専門学校卒と大卒については全く関係ないと思います。

監査法人内における昇格に高卒/専門学校卒or大卒の別は影響するか?

では、監査法人における昇格に高卒/専門学校卒or大卒の別は影響するか?です。

こちらも、

監査法人にいる分にはその昇格に高卒/専門学校卒or大卒の別が影響するとは思えません。

私が観測している範囲ですが、

やはり就職後の評価は、学歴よりも仕事ができるか、仕事ができないか?に掛かってくる

かと思います。

就職後は、会計・監査のスキル、英語やITといったスキルを伸ばしてパフォーマンスを発揮するほうがやはり重要ですね。

ただし、監査法人のパートナークラスは私の知る限りですと、大学を卒業している方が殆どな気がしますのでその点については一定の認識が必要かもしれません。

監査法人外への転職には学歴は影響するか?

では、監査法人外への転職はどうでしょうか。

結論から言えば、

公認会計士の転職には大いに学歴が影響する

と思います。

そもそも

応募の段階で四年制大学卒業者を要件としている会社もかなり多い

ためです。

このため、高卒/専門学校卒・大卒の別は、監査法人外への転職には大いに影響すると思っています。

 

高学歴であったほうがよいか?

監査法人内にいる分には高学歴であったほうがよいか?

こちらも、

特に高学歴であることが監査法人内の就職/昇進に影響したということは聞いたことはありません。

評価は学歴なんかよりも、入社後のパフォーマンスに掛かってくるだろうということは先ほど述べた通りですね。

監査法人外への転職には影響するか?

こちらは結論から言えば、

高学歴であることは、転職には大いに影響する

と思います。

もちろん、どういったところに転職するかには寄るかと思います。

監査法人と似た分野である会計や監査に関するプロフェッショナルファームへ転職するのであれば、あまり関係ないかもしれません。

しかし、一般の事業会社やコンサルファームなどはやはり学歴、特に良い大学であるかどうかも評価される世界です。

特に、

(古き良き?)日本型企業やトップティアの戦略コンサルティングファームなどは偏差値が高い学校を出ているか、という点を見られることが多い

のです。

ただし、これは公認会計士資格を持っていれば学歴は見られないといった求人もあるようですので、資格を持っていない状態から比べれば大きなアドバンテージを持っていることは事実かと思います。

その他

学歴は、独立後の成功に影響するか?

私は独立しておらず、こちらは実体験としては存じ上げませんので一般論と、独立した諸先輩を見ている人間からの議論として記載します。

私の周りにいらっしゃる監査法人からの独立組の人を見ると、

前職の監査法人からのつながりでの案件を獲得したり、クライアント先からの紹介などで案件を獲得したりしている例が多い

です。

このため、

あまり学歴が独立の成功に影響するとは思えません。

ただし、もちろん学校に纏わる色々な繋がり、大学などのアラムナイ、●●会などといった同窓会から紹介に至るケースもあるかと思いますので、学歴があることにデメリットはないと思います。

まとめ

結論から言えば、世間一般の、

学歴が高くて損をすることはほぼない

という結論に落ち着いてしまったかと思います。

ただし、特に監査法人にいる分には、就職にも昇進にも学歴は大きく影響しないというのが持論です。

また、独立後についても高卒/専門卒・大卒、高学歴かそうではないかという観点で案件の獲得などに大きな影響は出ないのではないでしょうか。

一方で、転職といった観点からは四大卒要件などが課せられていたりしますので、学歴はあったほうがよろしいかと思います。

今回の記事は以上です。

何かのご参考になれば。